2018年09月20日
シカゴIMM通貨先物 投機筋のポジションとその確認方法について
「シカゴIMM通貨先物 投機筋のポジション」は、為替相場の需給動向を判断する上で、注目度の高い指標です。
※ データをダウンロードすると、上記図のようにポジション推移を確認できるエクセルシートを自作してみました(詳細は、後半部分)。
投機筋のポジションが注目されるのは、「投機」は、「実需」とは異なり、利益確定のための反対売買を必ず行わなければならないためです。
なかでも、ポジションが一方向に極端に偏っている局面(さらにポジションを積み増せる人が少ない状況)では、
この手仕舞い取引が、需給環境を一変させるきっかけとなることも多く、特に警戒されます。
また、逆に、投機筋のポジションがニュートラルに近い時に相場が動き出すと、取組に余裕があるため、
投機的な動きが強まりやすく、一方向への動きがオーバーシュートする可能性が高くなると考えられます。
このように、投機筋のポジション動向は、為替相場の需給を見る上で、重要な手がかりを与えてくれます。
ただし、この通貨先物の取組高自体は、為替市場全体の取引規模からすると、さほど大きなものではありません。
そのため、ここに現れてくる手口は、投機筋が保有する膨大なポジションのごく一部に過ぎません。
ですが、IMM通貨先物の投機筋のポジション動向をみると、トレンド追随的な動きをする傾向が強く、投機勢が好んで用いる取引手法と整合的な動きをしています。
そこで、他に投機筋の手口を知る手段もないため、多くの市場参加者は、投機筋のポジション動向を推し量るための「代理変数」と見なして参照しています。
データの確認方法
CFTC(米商品先物取引委員会)が、毎週金曜日(米国時間:日本時間だと土曜日の朝方)に、火曜日時点のポジションを公表しています。
IMM通貨先物の直近のデータは、以下のページで確認することが出来ます:
https://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
また、ヒストリカルデータは、以下のページから取得することが可能です:
https://www.cftc.gov/MarketReports/CommitmentsofTraders/HistoricalCompressed/index.htm
ダウンロードしたファイルの「XLS」シートに各先物のポジションデータ等が入っています。
投機筋のポジションについては
ロング :NonComm_Positions_Long_All(I列)
ショート:NonComm_Positions_Short_All(J列)
に収録されています。なお、ネットポジションは、「ロングーショート」で自分で計算する必要があります。
データ確認のためのエクセルシート
ただ、上記サイトでは、ネットポジションは、自分でロングポジションからショートポジションを引いて手計算する必要があるなど、結構、面倒です。
また、ポジション動向を見るためには、時系列推移を確認する必要がありますが、図を作るのも、一からやろうとすると、これもまた、結構面倒です。
そこで、データをダウンロードすれば、ポジション推移の図表が確認出来るエクセルファイルを自作してみました。
CFTC_投機筋のポジション.xlsx
(上記リンクを右クリックして、「対象をファイルに保存」とすれば、ダウンロードできます)
対象は、通貨先物以外に、米国債先物(10年債など)や主なコモディティ、株価指数等の投機筋等のポジションも確認出来るようにしてあります。
- 通貨先物:
日本円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル、ニュージーランドドル、メキシコペソ、ブラジルレアル、ロシアルーブル - 米国債先物:
2年債、5年債、10年債、30年債 - コモディティ:
NY原油、金、ドル指数 - 株価指数等:
NYダウ、CME日経平均(ドル建て)、CME日経平均(円建て)、VIX - ビットコイン先物:
ビットコイン先物CME、ビットコイン先物CBOE
シートの「対象」を変更すると、他の先物のポジションを確認出来ます:
下図は「米10年債先物」を選択した場合:
※ 利回りのデータは、別途ダウンロードして準備しておく必要があります。
データタイプを変更すると、「投機筋」以外のポジションも確認出来ます。
また、ポジションの一覧表も作成します。
それから、別シート『図表_ドル合計』では、以下のように、ドルの合計ポジション(対 主要6通貨)も確認出来るようにしてみました:
cf. ロイター[需給情報]https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1VV0C0
このエクセルファイルの詳しい使い方については、以下のページ(note)にも書いていますので、こちらも参照して頂けたらと思います:
note:https://note.mu/mori_research_jp/n/nd98705be245f