2016年05月24日

日経平均構成銘柄の寄与度をリアルタイムで計算(楽天RSS使用)


ここでは、日経平均の算出手順を確認しながら、実際に、日経平均採用銘柄の寄与度を自分で計算してみます。

  日経平均株価の算出方法









計算はEXCELを使用し、データは楽天RSSを使って取得します。


下図のような感じで計算していきます:
寄与度計算シートのイメージ②




自分で計算するようにすると、例えば、下図のような感じで、寄与度を日中でもリアルタイムで見ることが出来ます:
寄与度計算シートのイメージ①




計算の流れを確認することが目的ですので、計算の意味などについては、「日経平均株価について」で見ることにします。



目次






準備① :楽天RSSの準備


データは、楽天RSSを使ってリアルタイムで取得するようにします。

  ※ 楽天RSSについては、楽天証券のサイト(https://www.rakuten-sec.co.jp/MarketSpeed/onLineHelp/msman1_11.html)を参照下さい。



楽天証券のマーケットスピード(http://marketspeed.jp/)がインストールされている場合、以下の3つのショートカットがあると思います:

楽天RSS_ショートカット




① (初回のみ) アドインの設定

はじめて楽天RSSを使用される場合は、楽天証券のサイト:

  『RSS準備編』
   https://www.rakuten-sec.co.jp/MarketSpeed/onLineHelp/msman1_11_2.html

の記載に従って、アドインの登録を行ってください。




エクセルを起動して、「 アドイン」 を選択したときに、下図のアイコンが表示されていれば、アドイン登録は完了しています。
アドインの設定

上図のアイコンが見当たらない場合は、アドインの登録を行う必要があります。





② MarketSpeed にログインする

まず、青色のアイコン:MarketSpeedを立ち上げ、ログインします。
マーケットスピードのログイン






③ RSSに接続する

次に、赤色のアイコン:RealtimeSpreadSheet を立ち上げます。
RealtimeSpreadSheet




下図のように隠れているインジケーターを表示し、RealtimeSpreadSheet にポインタを合わせてみてください。
図のように 『RSS 接続中』 と出ていれば、RSSにつながっています。

隠れているインジケーターを表示RSS接続中を確認




もし、下図のように『RSS 接続処理中』と出た場合は、MarketSpeed(青色のアイコン)にログインすれば、つながります:
RSS接続処理中








準備② :サンプルシート(エクセル・ファイル)のダウンロード


日経平均構成銘柄の寄与度を計算するためのエクセルファイルを用意してみました。

もしよろしければ、計算手順を理解するための参考にしてみてください。

(ただし、正しく動作することを保証はできませんので、その点はご理解ください)



下記リンク先を「右クリック」して「対象をファイルに保存」を選択すれば、ダウンロードできます。

  エクセル・ファイルのリンク先 (更新日:2018.10.02)








手順① :日経平均構成銘柄の取得


日経平均株価は、東証1部に上場する企業のうち、日本を代表する企業225社の株価から計算される指数です。

採用される225社は、日本経済新聞社が決定しています。



具体的な銘柄リストは、日経平均プロファイルの「構成銘柄一覧」で確認することができます。


  日経平均プロファイル (http://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile

     ⇒ 構成銘柄一覧 (http://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/component

        日経平均プロファイル_構成銘柄一覧







手順② :日経平均構成銘柄の株価を取得


各構成銘柄の「株価」は、以下の優先順位で、採用されます:


  ① 特別気配または連続約定気配

  ② 現在値

  ③ 基準価格



サンプルシートでは、以下の部分に対応します:

①現在株価を取得

上図の例では、株価は、「特別気配値」がないので、「現在値」が選ばれています。




なお、計算に必要となる株価データは、楽天RSSを使って、リアルタイムで取得します:
楽天RSS関数
※上図では、セル式を表示させています。

サンプルシートの「楽天RSSからデータを取得」部分にRSS関数が記入してありますので、楽天RSSに接続すれば、必要なデータが取得できます。





手順③ :「みなし額面」と「除数」を取得


日経平均株価は、“平均株価”と呼ばれてはいますが、手順②で取得した225社の「株価」を単純平均して求めているわけではありません。


 日経“平均株価”は、株価の単純平均したものではない





下図は日経平均構成銘柄の株価(2016/5/24 終値)の分布をみたものですが、ほとんどが日経平均株価より小さいのです。
日経平均株価よりも株価が大きいのは225銘柄中2つ(ファストリとJR東海)しかありません。
日経平均構成銘柄の株価分布




実は、株価を平均する際に、一定の修正を施しているのですが、そこで必要になるのが「みなし額面」と「除数」です。


ここでは、計算手順の流れを把握することが目的ですので、簡単なイメージだけ確認します(詳しくは、「日経平均株価について」を参照)、




(a) みなし額面

2001年に額面株式制度が廃止されるまで、日本には額面株(20円、50円、500円、5万円の4種類)があり、当時は額面あたり一定額の配当が支払われるといった商慣行がありました。

また、単位株制度(1982年導入、2001年廃止)の下では、額面が5万円になる株数を1単位株としており、これが株式売買の最低取引単位にもなっていました(額面50円の場合は1,000株が1単位)。



そのため、額面の異なる株価を比較する場合は、注意が必要でした。

例えば、まったく同じ企業であっても、額面が異なると株価水準は大きく異なってしまいます。

  ① 額面50円(1単位=1,000株):1株100円 ⇔ ② 額面5万円(1単位=1株):1株10万円


そこで、平均株価を求めるにあたって、まずは株価を額面50円あたりの株価(採用株価)に直す、ということが行われていました。
(当時は、多くの株券が額面50円でした)



例えば、②の場合であれば、次のように計算されます:

採用株価の計算例





額面株式制度が廃止されて以降も、多くの株価は、旧額面額を基準にして価格形成されています。

そこで、額面株廃止前と同様の調整を継続するために「みなし額面」が導入されました。







構成銘柄の「額面」は、日経平均プロファイルの「みなし額面一覧(PDF)」で確認することができます。


  日経平均プロファイル (http://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile

     ⇒ みなし額面一覧(PDF)
        http://indexes.nikkei.co.jp/nkave/archives/file/nikkei_stock_average_par_value_jp.pdf

        みなし額面一覧の取得





(b) 除数

日経平均の構成銘柄は定期的に見直されますが、銘柄入れ替えをすると、その前後で株価水準に差が生じてしまいます。

そこで、銘柄入替前後で“平均株価”の値が変わらないようにするための方法として、除数が用いられています。


除数のイメージ


このように、日経平均株価は、スタート時点では、

   「採用株価の合計÷銘柄数」

で算出される単純平均でしたが、その後、銘柄入替が行われるようになると、銘柄入替時点での断続性をなくすために

   「採用株価の合計÷除数」

で計算されるようになります。







「除数」は、日経平均プロファイルで確認することができます。


  日経平均プロファイル (http://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile

   除数の取得






取得したデータは、サンプルシートでは、以下の部分に張り付けています:
サンプルシート_みなし額面と除数


※ みなし額面と除数は、楽天RSSからは取得できないため、手作業で取得してください。



手順④ : 現在の日経平均株価の計算


日経平均株価の算出式は以下のようなものでした:

  日経平均株価の算出方法







そこで、取得したデータを使って、現在の日経平均株価を計算します:
②日経平均株価(現在)を計算

まず、各構成銘柄の「採用株価」を計算し、「採用株価÷除数」を求めます。

そして、「採用株価÷除数」を合計します。この合計値が日経平均株価になります。


なお、日経平均の値は、「小数点以下3位を四捨五入し、小数点以下2桁までとする」となっています。




手順⑤ : 前日の日経平均株価の計算


同様にして、前日の日経平均株価を計算します:
③日経平均株価(前日)を計算

※ サンプルシートでは、前日と当日で、構成銘柄やみなし額面、除数には変更がなかったことを前提としています。





手順⑥ : 寄与度の計算


寄与度とは、日経平均株価の前日比(変化額)に対して、各構成銘柄がどの程度貢献していたのかを表したものですので、構成銘柄等に特に変更がなければ、次式で計算できます:

   日経平均構成銘柄の寄与度の計算式

※ つまり、寄与度 = 『現在の「採用株価÷除数」』 - 『前日の「採用株価÷除数」』 です。




サンプルシートでは、下図の部分で計算しています:
④寄与度を計算
※ サンプルシートでは、前日と当日で、構成銘柄やみなし額面、除数には変更がなかったことを前提としています。



「寄与度の合計」は、「日経平均の前日差」と同じものです。

ただし、日経平均の値には丸め処理が行われているため、寄与度合計と比較したときに0.01だけ誤差が生じるケースがあります。





なお、サンプルシート(寄与度ランキング)では、寄与度の大きさに応じて、銘柄をソートして表示させるようにしています。
寄与度計算シートのイメージ①




参考文献

  • 日本経済新聞社 (2011) 『日経平均株価 算出要領』
    http://indexes.nikkei.co.jp/nkave/archives/file/nikkei_stock_average_guidebook_jp.pdf
  • 日本経済新聞社インデックス事業室 『日経平均公式ガイドブック 第2版』 日本経済新聞出版社 (pp.12-15)
  • 日本証券アナリスト協会 『証券投資論 第3版』 日本経済新聞社 (pp.36-37)








  
Posted by mori_research at 22:20Comments(0)